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THOSE DAYS流行歌、映画の情報などお届けします
今回は、1950年公開の、松竹大船撮影所製作・澁谷實監督作品「てんやわんや」を紹介する。原作は、毎日新聞に1948~49年に連載された獅子文六の同名作品で、それは作家の愛媛県宇和島市への疎開体験を題材にしたもの。主人公は「四国独立運動」のドタバタに巻き込まれるが、そのアイデアは、井上ひさしの『吉里吉里人』(新潮社、1981年)における「吉里吉里国」の独立騒動に先行している。この映画は、淡島千景の映画デビュー作品なので、その点でも楽しんでほしい。
もう1作品、ぜひ見てほしい作品がある。それは、8月6日の広島への原爆投下直後、降った黒い雨がどんな悲劇をもたらしたかを描いた井伏鱒二の原作『黒い雨』(1965年)を映画化した今村昌平監督作品(1989年公開)。北村和夫、市原悦子、小沢昭一、三木のり平、殿村泰司などの実力演技陣に囲まれて、田中好子の演技が光っている。推奨作品である。
つづいて、占領期の映画を、『昭和・平成家庭史年表1926→1995』などでピックアップする。
- 1945年――
- 『そよ風』佐々木康監督/並木路子・佐野周二・上原謙
『東海水滸伝』伊藤大輔・稲垣浩共同監督/片岡知恵蔵
『ユーコンの叫び』(1938年米)B・リーヴス・イーソン監督(戦後初の洋画) - 1946年――
- 『カサブランカ』(米)M・カーティス監督/I/バークマン
『七つの顔(多羅尾伴内)』松田定次監督/片岡知恵蔵
『わが青春に悔いなし』黒澤明監督/原節子・藤田進
『はたちの青春』佐々木康監督/大坂志郎・磯野道子 - 1947年――
- 『4つの恋の物語』豊田四郎監督他/久我美子・木暮実千代
『素浪人罷り通る』伊藤大輔監督/阪東妻三郎・守田勘弥
『安城家の舞踏会』吉村公三郎監督/原節子・滝沢修 - 1948年――
- 『酔いどれ天使』黒澤明監督/志村喬・三船敏郎
『鐘の鳴る丘』佐々木啓祐監督/佐田啓二・高杉妙子
『肉体の門』マキノ雅弘監督/轟夕起子・小夜福子 - 1949年――
- 『母三人』小石栄一監督/三増愛子・水戸光子
『青い山脈 前編・後編』今井正監督/原節子・池部良・杉葉子・木暮実千代
『晩春』小津安二郎監督/笠智衆・原節子・月丘夢路
『痴人の愛』木村恵吾監督/宇野重吉・京マチ子・森雅之
『哀愁』(米)M・ルロイ監督/V・リー、R・テイラー - 1950年――
- 『乙女の性典』大庭秀雄監督/月丘夢路・佐多啓二
『羅生門』黒澤明監督/京マチ子・三船敏郎・森雅之
『宗方姉妹』小津安二郎監督/田中絹代・高峰秀子・上原謙
『赤い靴』(英)M・パウエル監督/M・シアラー
『自転車泥棒』(1948年、伊)ヴィットリオ・デ・シーカ監督
『無防備都市』(1945年、伊)ロベルト・ロッセリーニ監督
ウォルト・ディズニー製作の世界初の長編アニメ映画『白雪姫』ディヴィッド・ハンド監督 - 1951年――
- 『大江戸五人男』伊藤大輔監督/阪東妻三郎・市川右太衛門
『源氏物語』吉村公三郎監督/長谷川一夫・京マチ子
『カルメン故郷に帰る』木下恵介監督/高峰秀子
『麦秋』小津安二郎監督/原節子・笠智衆・杉村春子
『めし』成瀬己喜男監督/上原謙・原節子
『黄色いリボン』(1949年、米)ジョン・フォード監督/ジョン・ウェイン - 1952年――
- 『風と共に去りぬ』(米)V・フレミング監督/V・リー
『生きる』黒澤明監督/志村喬・小田切みき
『原爆の子』新藤兼人監督/乙羽信子・滝沢修・北村谷栄
『お茶漬の味』小津安二郎監督/佐分利信・木暮実千代・鶴田浩二
『第三の男』(1949年、英)キャロル・リード監督/オーソン・ウェルズ、グレアム・グリーン