コラム 帝銀事件とは何だったのか-53 Vol.53 原渕 勝仁さん | GHQ.club

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帝銀事件とは何だったのか

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MYSTERY
HUNTER帝銀事件とは何だったのか-53

VOL.53
原渕 勝仁さん

占領時代のミステリー・ハンターあらわる!
占領時代の事件、今もって解明されておらず、
「〇〇は無実である」という雪冤の運動は続いている。
ミステリー・ハンター 原渕 勝仁氏がそれら謎を多角的に解明する。

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オキュパイド・ジャパン・ミステリー・ハンター
帝銀事件とは何だったのか-53

 

 わたしは、犯人は事件が発生する午後3時よりももっと前から帝銀椎名町支店の周辺で状況を把握するべく待機していたのではないかと考えている。

 これから銀行強盗に向かうという犯人のことである。犯行後にどうやって逃げれば他人に目撃されずに済むか。また、銀行周辺にどんな施設があるか。たとえば交番とかどこにあるのか。いくら周辺に土地勘のある人間でも心の準備も含めて、多少は早めに現場にいるのが普通ではないのか。

 しかし、平沢は事件当日には朝から自分の個展をやっている日本橋にでかけ、午後1時半か2時には間違いなく、丸の内で義理の息子に会っているのだ。それはアリバイ作りのためにわざとやったことだったのか。それにしても犯行のぎりぎりまで山手線でいえば池袋からかなり離れた東京駅や上野駅あたりをうろうろしているのである。いくら土地勘があって、事前に充分準備をしていたとしても、これから銀行強盗に向かう人間にしてはあまりにも腹が据わり過ぎていやしないか。

 もしかしたら人を殺すかもしれないのだ。事実、12人もの罪もない銀行員とお手伝いの家族が死亡している。もし平沢が真犯人だとして、その毒物が人の死に至る劇薬だと知らずに飲ませ、死なないまでも苦しんで倒れている間にお金を奪うと計画していたにしても、銀行強盗である。毒の効き目が悪くて、動ける銀行員に反撃をされる恐れもあるし、すぐに通報されて警察に逮捕されるかも知れないのだ。それなりに事前の準備は犯人はしていたはずだ。

 なぜ、こんなことを書くかというと、犯人が相田小太郎方の井戸とそこにGHQの職員が視察に来たことを明らかに知っていたという事実である。つまり、真犯人は犯行のかなり前から椎名町周辺にいて、それは偶然かもしれないが(この偶然というのは説得力が減少してしまうが)GHQのジープが相田方に到着して、視察している模様を目撃していたのではないか。GHQのその部署の関係者でないかぎり、あの井戸の存在は土地勘のある平沢でも知らなかったということで、平沢が池袋から歩いて犯行現場に着くまでにGHQのジープを目撃したということに供述ではなっているのである。しかし、1時半に、あるいは2時に丸の内にいた平沢にGHQのジープを目撃することは不可能なのだ。なぜならばGHQのジープが相田方に止まっていたのが2時過ぎとのことで、犯行のあった3時過ぎには豊島区の区役所に関係者は全員帰ってしまっていたのだ。

 これは当時、通訳としてGHQの視察に同行したある人物が明らかにしている。それが長井正義という人物で、わたしがTBSの『THE・プレゼンター』で帝銀事件を取り上げた折にもインタビューしている。確かにその風貌が帝銀の犯人の指名手配写真にそっくりな顔をしているので、この人自身が真犯人ではないかと何度も警察で取調べを受けた人物でもあるので、信憑性が疑われたのだが。

 GHQの職員はアーレンという第八公衆衛生課所属の軍属で、その通訳を長井さんが務めていた。アーレン以外にも豊島区役所の英速雄医師と岡本という職員が現場に同行している。しかし、3時には豊島区役所に戻ったという彼らの証言は思い違いであろうといった感じで重要視されなかったのである。

 

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プロフィール:原渕 勝仁(はらぶち・かつひと)
略歴:1956年、香川県坂出市生まれ。立教大学法学部中退。
代表作/TBS 『報道特集』「戦艦大和 幻のフィルム」「帝銀事件 絵探しの旅」「連合赤軍事件 36年目の真実」フジテレビ『ザ・ノンフィクション』「ショーケンという孤独」テレビ朝日『ザ・スクープSP』「よど号ハイジャック事件 40年目の真相」WOWOW『ノンフィクションW』「映画監督・若松孝二 17才の光と影」「ミャンマーの幻の格闘技ラウェー」「遥かなる北極点 孤高の冒険家・荻田泰永」テレビ朝日『テレメンタリー』「決着 若松孝二と岡本公三」フジテレビ『NONFIX』「フランスの城で男が描く夢 フレスコ画家・高橋久雄の挑戦」「受け継がれる心と形 狂言・和泉流宗家」フジテレビ『ニュースJAPAN』「スクープ潜入!よど号日本人村」テレビ東京『未来世紀ジパング』「北朝鮮・ケソン工業団地」など