コラム 帝銀事件とは何だったのか-24 Vol.24 原渕 勝仁さん | GHQ.club

GHQ CLUB. あの日あなたは何をしていましたか? あなたにとってGHQとは?

HOME > コラム > コラム 帝銀事件とは何だったのか-24 Vol.24 原渕 勝仁さん

帝銀事件とは何だったのか

GHQ
MYSTERY
HUNTER帝銀事件とは何だったのか-24

VOL.24
原渕 勝仁さん

占領時代のミステリー・ハンターあらわる!
占領時代の事件、今もって解明されておらず、
「〇〇は無実である」という雪冤の運動は続いている。
ミステリー・ハンター 原渕 勝仁氏がそれら謎を多角的に解明する。

article

 

オキュパイド・ジャパン・ミステリー・ハンター
帝銀事件とは何だったのか-24

 

 われわれが訪れることは事前に連絡してあったので、事務所では担当者が資料とかを用意して待っていてくれた。いま、岩原(いわっぱら)スキー場を管理しているのは、ライフスタイルサービスという会社で、管理事務長の南雲康男さんが対応してくれた。最初からわざわざ来ていただいて申し訳ないといった雰囲気だった。聞くと、お目当てのロッジは数年前に取り壊されたという。従って、わたしが帝銀事件の真犯人と目しているOが頻繁に通って、また、ときに平沢貞通も訪れて進駐軍の兵士に絵を買ってもらっていたその場所をこの目で見ることはかなわなかった。

 ちょうど、この年の2011年は、昭和6年にこのスキー場が開業して80年目ということで、ロッジの写真を陶器にした記念品がありますので、と、わたしと製作会社のプロデューサーが一つずつお土産としてもらうことに。管理事務長の南雲さんとしては、わざわざ東京から来ていただいて申し訳ないと。しかも、事件があった昭和20年代のことはわれわれの誰も把握していない、ただ、〝ロクさん〟という岩原観光時代の元・常務だった方がいまも存命で、その人が古いことは詳しいのではと紹介してくれた。

 早速、その〝ロクさん〟こと高橋六三(ろくぞう)さんの自宅を訪問した。かなりの資産家らしく、自宅は豪邸。しかし、われわれを快く迎えてくれて、応接間で色々と話を聞かせてもらった。昭和7年生まれで、80歳近い高齢で、いまは仕事も引退して悠々自適の生活を送っているという。庭には巨大な松や岩による造園にかなりお金をかけている感じで、わたしが凄いですねと感想を言うと、なんとも人懐っこい笑顔で答えてくれた。しかし、この高橋さんも会社に入社したのは昭和30年以降で、GHQに接収されていた時代のことはまったく知らないとのことであった。

 これは困ったことになった、万事休すかと思ったが、GHQ時代にロッジで給仕の仕事をしていた男性が高齢だが、いまも存命だということで紹介してくれたのである。それがGHQ接収当時、最年少の給仕だったMさんのことであった。いまは湯沢市内で民宿を経営するMさんのことは、佐伯省ことIさんの著書『疑惑α』のなかでも「西原晴市」という名前で登場する。Iさんは歯科医Oに毒を盛られ殺されかけたのち、私立探偵を雇ってOの戦前戦後の足跡を調べていた話は以前したが、この越後湯沢にも探偵とともに訪れていたのだ。そして、このMさんにも接触して証言を取っている。

 Mさんは妻の姉がロッジでウエイトレスをしていた関係で、同じ職場で働くことになったそうだ。給仕という職業柄、ロッジで起こったことはほぼこの目で目撃している。伝聞や推測ではなく、目撃したままの話を、われわれに聞かせてくれた。それはかなり確信に迫るようにわれわれには思われた。しかも、歯科医Oが犯人、それは帝銀事件のことではなく、昭和29年1月19日のロッジ支配人、「大森精一」殺害事件の犯人に間違いない、といった内容であった。

 また、Mさんは平沢もこの地で目撃しているし、これは歯科医Oが帝銀事件でアリバイを主張しているが、それを覆すような証言(これは推測に近いとわたしは思うが)も飛び出したのである。

 

  • (クリックすると拡大表示されます)
  • 【原渕勝仁の著書】
  • 『若松孝二と赤軍 レッド・アーミー』
  • 情況新書011/世界書院・発行
    定価1200円+税

 

img_column_002_02
プロフィール:原渕 勝仁(はらぶち・かつひと)
略歴:1956年、香川県坂出市生まれ。立教大学法学部中退。
代表作/TBS 『報道特集』「戦艦大和 幻のフィルム」「帝銀事件 絵探しの旅」「連合赤軍事件 36年目の真実」フジテレビ『ザ・ノンフィクション』「ショーケンという孤独」テレビ朝日『ザ・スクープSP』「よど号ハイジャック事件 40年目の真相」WOWOW『ノンフィクションW』「映画監督・若松孝二 17才の光と影」「ミャンマーの幻の格闘技ラウェー」「遥かなる北極点 孤高の冒険家・荻田泰永」テレビ朝日『テレメンタリー』「決着 若松孝二と岡本公三」フジテレビ『NONFIX』「フランスの城で男が描く夢 フレスコ画家・高橋久雄の挑戦」「受け継がれる心と形 狂言・和泉流宗家」フジテレビ『ニュースJAPAN』「スクープ潜入!よど号日本人村」テレビ東京『未来世紀ジパング』「北朝鮮・ケソン工業団地」など