HOME > コラム > コラム 帝銀事件とは何だったのか-35 Vol.35 原渕 勝仁さん
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MYSTERY
HUNTER帝銀事件とは何だったのか-35
- VOL.35
- 原渕 勝仁さん
占領時代のミステリー・ハンターあらわる!
占領時代の事件、今もって解明されておらず、
「〇〇は無実である」という雪冤の運動は続いている。
ミステリー・ハンター 原渕 勝仁氏がそれら謎を多角的に解明する。
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オキュパイド・ジャパン・ミステリー・ハンター
帝銀事件とは何だったのか-35
熊井啓監督は『熊井啓 日活 DVD-BOX』というのを出している。恐らく、生前に出されたものだと思われるが、わたしはそれを武彦氏から購入した。5枚組で定価が税込みで2万1千円もするものだが、確か、武彦氏から5千円で手に入れた。多分、これは推測だが、BOXにある特典映像の資料を武彦氏が提供していることから何組かを、そのBOXの製作者、つまりは熊井啓監督自身からもらったのではないか。それを普段、世話になっている親しい知人に安く、売ってくれたのだと思う。わたしと同じように部落解放同盟の安田さんも購入していた。
そのDVD-BOXには映画『帝銀事件・死刑囚』(1964年)のほかに、映画『日本列島』(1965年)や、遠藤周作の原作『私が棄てた女』を映画化した映画『愛する』(1997年)、そして、1994年6月27日に発生した松本サリン事件をテーマにした映画『日本の黒い夏』(2000年)が入っている。もう一枚が特典映像の入ったDVDだが、それで5枚組みになっているのだが、なぜか、その一枚が歯が抜けたようになくなっている。武彦氏が手元になくなったので、どうしても本を書くためにチェックしなきゃいけないから貸してくれといわれ、貸してそのままになっていたのだ。
しかし、それは、ある事情からもうどこに行ったのか探しようのない状態のままなのである。(再審請求人の平沢武彦氏は2013年10月1日、一人暮らしの自宅で孤独死しているのを発見されている。発見したのは、このわたくしである。これについては、こののち、もっと詳しく書くつもりである。
わたしの処女出版した著書『若松孝二と赤軍 レッド・アーミー』のなかで、若松孝二監督の死とともに武彦氏の孤独死についても少し触れている)映画『帝銀事件・死刑囚』も映画『日本列島』も、わたしは大学時代に恐らく、池袋の文芸坐で観ている。前者の帝銀事件に関しては、強烈な衝撃をもっていまもどのシーンも鮮明に記憶に残っているのに比べ、その翌年に製作された映画『日本列島』は一度、見ているはずなのにまったく、どういった内容だったのか記憶になかった。見たことすらわたしの記憶から完全に消し去られていたのである。武彦氏からそのBOXを買ったわいいが、ずっと、本棚の隅でホコリを、なぜか、被ったままに放って置いた。色々と思うところがあって、ごく最近、その映画『日本列島』のDVDを自宅で観て、驚くことが多々あったのだ。
恐らく、さまざまな事情があってのことと思うが、『帝銀事件・死刑囚』はほぼ、ノンフィクション、いや、100%事実として、登場人物もすべて実名で描かれているのに比べ、『日本列島』は実際にあった事件をもとにしているが、形はフィクションとして、登場人物もほとんどが仮名で描かれている。実名で描くことに、なんらかの支障があったということ。
多分、終戦直後に日本を占領していたGHQの犯罪を告発する内容であることからアメリカ政府に対して気を使ったということなんだろけど、いま現在、この時点で見てみると、映画のなかで、GHQの工作機関「キャノン機関」のことが無理無理「キャメル機関」となっているけど、熊井啓監督は、そして、この原作を書いたジャーナリストの吉原公一郎氏は、これはもうかなりの部分で、核心を付いていたことがわたしには鮮明に見えてくるのである。
- プロフィール:原渕 勝仁(はらぶち・かつひと)
略歴:1956年、香川県坂出市生まれ。立教大学法学部中退。
代表作/TBS 『報道特集』「戦艦大和 幻のフィルム」「帝銀事件 絵探しの旅」「連合赤軍事件 36年目の真実」フジテレビ『ザ・ノンフィクション』「ショーケンという孤独」テレビ朝日『ザ・スクープSP』「よど号ハイジャック事件 40年目の真相」WOWOW『ノンフィクションW』「映画監督・若松孝二 17才の光と影」「ミャンマーの幻の格闘技ラウェー」「遥かなる北極点 孤高の冒険家・荻田泰永」テレビ朝日『テレメンタリー』「決着 若松孝二と岡本公三」フジテレビ『NONFIX』「フランスの城で男が描く夢 フレスコ画家・高橋久雄の挑戦」「受け継がれる心と形 狂言・和泉流宗家」フジテレビ『ニュースJAPAN』「スクープ潜入!よど号日本人村」テレビ東京『未来世紀ジパング』「北朝鮮・ケソン工業団地」など