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COLUMN「理化学研究所」
- VOL.36
- 小川 真理生さん
ここでは、「理化学研究所」にまつわるコラムを紹介します。
小川 真理生さん(フリー編集者)
第36回「理化学研究所」
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今回は理研を取り上げる。理化学研究所(本部・埼玉県和光市)はこの3月に創立100周年を迎える。1月19日付「毎日新聞」には、「理研100周年 知の業績――朝永振一郎『科学者の自由な楽園』」という記事が掲載されている。そこに以下のような年表が出ている。
科学界をリードしてきた1世紀の歩み
- 1913年
- 化学者の高峰譲吉が「国民科学研究所」設立を提唱。それを基に、経済人の渋沢栄一を委員長とし16年に「理化学研究所」創立委員会設置。
- 1917年
- 財団法人「理化学研究所」設立。
- 1921年
- 科学者の大河内正敏が3代目所長就任。主任研究員が裁量権をもって研究室を運営する制度を創設するなど現在の基礎を築く。
- 1922年
- タラの肝臓からビタミンAの抽出に世界で初めて成功。
- 1927年
- 「理化学興業」設立。理研の発明を理研自体が工業化する事業体。後に理研コンツェルンに発展。/青写真に代わる「陽画感光紙」を発明。
- 1929年
- 理研ブランドの合成酒「利休」発売。/丈夫でさびないアルマイトを発明。
- 1945年
- GHQが原爆研究の「二号研究」に使われたサイクロトロン2基を廃棄。
- 1947年
- 財閥解体の一環でGHQが理研コンツェルンを解体させる。
- 1948年
- 理化学研究所解散、株式会社「科学研究所」設立。
- 1949年
- 湯川秀樹がノーベル物理学賞受賞。
- 1956年
- 法律で半官半民の会社に。
- 1958年
- 科学研究所解散、特殊法人「理化学研究所」設立。
- 1965年
- 朝永振一郎がノーベル物理学賞受賞。
- 1966年
- 東京・駒込から埼玉・和光へ移転開始。
- 1997年
- さまざまな研究に貢献している大型放射光施設「スプリング8」運用開始。
- 2003年
- 独立行政法人に。
- 2004年
- 森田浩介氏らが113番元素の合成に成功。
- 2012年
- スーパーコンピューター「京」運用開始。
- 2014年
- 「STAP細胞」論文捏造発覚。/iPS細胞を使った世界初の移植手術。
- 2015年
- 国立研究開発法人に。
- 2016年
- 特定国立研究開発法人に。/113番元素が新元素に認められ「ニホニウム」と命名。
理研は、創立100周年を機に、理研の歴史を振り返るために、「広報活動」の一環として「歴史講演会―科学の源流と理研精神」を開いている。その第1回(2015年12月2日)では、「理化学研究所の設立と大河内正敏の経営」という演題で、専修大学大学院経営学研究科教授の齋藤憲氏が講演している。現在、63社121工場からなる理研コンツェルンの経営学から見た第3代所長・大河内正敏の果たした役割が紹介されている。些末なことだが、女優の河内桃子さんは彼のお孫さんだそうだ。
ユーチューブにアップされているので、以下で90分ほど付き合ってほしい。
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プロフィール:小川 真理生(おがわ・まりお)
略歴:1949年生まれ。
汎世書房代表。日本広報学会会員。『同時代批評』同人。
企画グループ日暮会メンバー