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No.2
伊丹万作「戦争責任者の問題」
『映画春秋』創刊号)から

 日本が戦争に敗けたことを認めないとか、たとえ認めても、私は情報を与えられず、騙されたのだから、その敗北に何ら責任はないといった精神の風潮が大物顔で罷り通っていることに、私は残念でならない。
 また、自虐とは逆に日本は凄いと言って安心する心根をもてはやす番組が、とくにテレビ番組に多いので、かつてのテレビっ子の私もすっかりテレビを見捨てるようになった。
 そこで、1946年8月、映画監督の伊丹万作が、『「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」ことを主張したいのである』という原稿を「映画春秋」の創刊号に寄稿して話題を呼んだが、それをあらためて、「青空文庫」で、皆さんに見てもらいたい。

 

 ところで、伊丹万作は映画監督して戦前に活躍した。よく知られるエピソードは、1937年公開の日独合作映画「新しき土」(ヒットラーやゲッペルスお墨付きの国策映画といってよいであろう。原節子が主演している)の共同監督の一人となったが、相手のアーノルド・ファンクと意見があわず、ファンク版(ドイツ版)と伊丹版(英米版)という別々の作品に仕上げることになったことは、よく知られた話である。
 また、彼の長男・伊丹十三は映画監督としても名を成した。それに文筆家でもあったわけだが、彼が“幻の雑誌”「モノンクル」の責任編集長になった時、そのデスクでインタビューをさせていただいたことが思い出に残っている。ともかく才人であった。