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HOME > フォトストーリー > フォトストーリー 写真に隠された真実 STORY.48 「かつて横浜軍事法廷が行われた横浜地方裁判所」

低層部に占領期の外観を保存する横浜地方裁判所。

PHOTO STORY写真に隠された真実

STORY.48
「かつて横浜軍事法廷が行われた横浜地方裁判所」

 山下公園とホテルニューグランドの間の通りを横浜税関ビル(クィーンの塔)に向かう途中の「開港資料館前」の信号を左に渡れば、神奈川県庁の前に出る。キングの塔を見上げながら、その脇の通りを、右奥に「開港記念会館(ジャックの塔)」を遠望しながら渡れば、そこは横浜地方検察庁、そして横浜地方裁判所である。まっすぐ進めば、DeNAベイスターズの本拠地・横浜スタジアムを構える横浜公園である。

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  • 県庁脇の通りでジャックの塔(開港記念会館)
    を遠望する。

  • キングの塔(神奈川県庁)をあおぐ。

 ちなみに、1917年に完成した開港記念会館は、戦後58年まで米軍に接収され、米軍婦人部隊の宿舎などに使用されている。
 さて、この横浜地方裁判所の低層部は、占領期の外観をしのべるよう、当時のまま、つまり昭和4年に竣工した時の姿のままだが、高層部は増築され、近代的ビルになっている。なお、ここは横浜に司令部を置いていた米第八軍軍医委員会が国内で唯一、B、C級戦犯を裁くために、横浜軍事法廷を開いたところである。日本のB、C級戦犯は、この横浜以外でもマニラ、シンガポールなど世界の49ヵ所で裁かれ、被告人は約5700人で、うち約1000人が死刑判決を受けているという。その内実を調べれば、理不尽なこともあったし、また人に言われぬ苦悩を抱え込んだ人がたくさんいたようである。

低層部に占領期の外観を保存する横浜地方裁判所。

 なおまた、この横浜地裁地方裁判所の旧庁舎において、陪審裁判のための法廷として使われていた「特別法廷」は、桐蔭横浜大学キャンパスの「桐蔭学園アカデミウム」に移築されている。

 参考映像として、ユーチューブから以下のものを紹介しておく。
・「BC級戦犯=朝鮮人戦犯など獄窓からの声」
 
・「B、C級戦犯達の記録・証言Ⅰ」

・「B、C級戦犯達の記録・証言Ⅱ」

 参考図書としては、大森淳郎・渡辺考共著『BC級戦犯 獄窓からの声』(NHK出版刊)、横浜弁護士会BC戦犯横浜裁判調査研究特別委員会著『法廷の星条旗―BC級戦犯横浜裁判の記録』(日本評論社)、林博史著『BC級戦犯裁判』(岩波新書)などがある。

 

(文責:編集部MAO)