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永田浩三さんインタビュー

INTERVIEW永田浩三さんインタビュー

VOL.1
永田浩三さん

――永田さんはテレビ番組では、今は亡きドキュメンタリストの片島紀男さんらと、NHKスペシャルなどで素晴らしい作品を作りつづけてきたわけですが、今度は舞台をペンの世界に代えて、このドキュメンタリー作品に取り組もうとしたきっかけは?

永田 わたしは、6年前までNHKに勤務していました。ディレクターやプロデューサーとして『クローズアップ現代』や『NHKスペシャル』など、たくさんの番組をつくりました。2009年からは東京・練馬区にある武蔵大学で教員をしていますが、教員になったころ、神戸で、NHK問題を考える会が開かれ、わたしが関わったETV2001番組改変事件のことをお話しました。そこに来ておられたのが、奄美大島で本土復帰運動に関わった井上邦子さんでした。『その時歴史が動いた』という番組で、復帰運動が取り上げられたが、あれは事実ではない、ほんとうの歴史を本にしてほしいとおっしゃったのです。わたしは、沖縄のことなら少しは調べたことがあるが、奄美についてはなにも知りません。いっしょに勉強させてくださいとお願いしました。その時以来、井上さんから膨大な資料が送られてきました。去年10月から、本気で奄美に通うようになり、今回の本にまとめることができました。

奄美の奇跡

 奄美の奇跡


――最後の証言になるかもしれないご高齢の方々をはじめ、たくさんの方々からお話を聞いていますが、取材はどのような形で進められたんですか?

永田 復帰運動のリーダーである、中村安太郎・泉芳朗・村山家國の3人はすでに故人です。しかし、その教えを受けた、当時の10代・20代の若者たちはいまもお元気でした。奄美大島、鹿児島、大阪、神戸、首都圏にたくさん住んでおられます。大学の仕事の合間に、なんとか時間をつくって会いに行きました。みなさん、当時の記憶は、まるで昨日の出来事のように鮮明でした。話をされるときは、みな青年の顔に戻っていました。復帰運動に関する文献や写真は、先人の努力のおかげで、散逸することなく残っていました。わたし自身が生まれたのは、復帰の翌年の1954年ですが、膨大な資料のおかげで生々しい時代の雰囲気がよみがえってきました。資料とたくさんの方々の貴重な証言がなかったら、一歩も前に進めませんでした。

永田浩三(ながたこうぞう)
プロフィール:永田 浩三(ながたこうぞう)
1954年大阪生れ。東北大学教育学部卒業。1977年NHKに入社。ドキュメンタリー、教養番組に携わり、ディレクターとしてNHK特集『どんなご縁で』、NHKスペシャル 『社会主義の20世紀』、プロデューサーとして『クローズアップ現代』『NHKスペシャル』『ETV2001』などを制作する。その間、「芸術作品賞」「放送文化基金賞」「ギャラクシー賞」などを受賞し、また「菊池寛賞」を共同受賞した。2009年、NHKを退社。現在、武蔵大学社会学部教授。
 なお、『重ね地図シリーズ 東京 マッカーサーの時代編』の「別冊 日本占領の正体」に「ミステリーの時代―謎多き占領期」を寄稿いただいている。

◆永田浩三さん極私的ブログ「隙だらけ好きだらけ日記」
http://nagata-kozo.com/